犬と私の10の約束

川口晴/犬と私の10の約束 川口晴/犬と私の10の約束
販売元:HMVジャパン
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泣けなかった彼女が、素直に涙を流せる様になった。
それが一番大きなポイントかもしれません。

もっと泣けるのかと思っていましたが、案外、淡々と書かれています。

もちろん、愛犬が旅立つその時は、やはり辛かったですが、
どちらかというと、一人の少女の成長の記録な様なものです。

犬には、セラピストとしての有能な働きがあるということが、
本書の中では、随所に出てきます。

とても辛いとき、そっと傍にいて、いつのまにか元気にしてくれる。
そんな風に支えてくれる存在、
いつも、変わらぬ愛情をもって見てくれる、それが犬の存在です。

犬の寿命は人間より短く、自分の人生の中のある一部分しか共有できないけれど、
その中で、示す存在意義は計り知れません。

この少女の様に、その存在に支えられ、教えられ、共に成長してきたならなお更です。

「犬は飼い主を選べないから、犬にとって、出会いはイコール運命なのです。」
というような言葉がありました。

我が家のまだ小さいわんこ達、「うちに来て良かった」って思ってくれるように、
大事にしたいと思いました。

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リピート

リピート (文春文庫 い 66-2) Book リピート (文春文庫 い 66-2)

著者:乾 くるみ
販売元:文藝春秋
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10ヶ月前に遡って、人生をやり直すことができます。
そんな時間旅行に行きませんか?という誘いから始まる。

そうやって、人生をやり直す(=リピート)時間旅行に参加した10人のメンバー達だが、
リピート先の世界で、一人、また一人と怪死を遂げる。

SF要素あり、ミステリー要素あり、恋愛要素ありのあわせ技を見せてくれました。

前回読んだ「イニシエーション・ラブ」でも大技を繰り広げてくれましたが、
この乾さんは、いつも何かしら仕掛けてくれるので、読む楽しみがありますね。

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蛍川

Book 蛍川 (角川文庫)

著者:宮本 輝
販売元:角川書店
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川を舞台にした二つの作品です。

「泥の河」は幼年期の少年、「蛍川」は思春期の少年の目を通して、
突然訪れる死や、不条理な世の中、人生の哀歓を、叙情たっぷりに描いています。

全体的には、どこか切なく、くすんだ色合いなのですが、
随所に、艶やかな色使いがされているのが際立っていました。

廓舟の母親の妖艶さや、泥の河に棲むおばけ鯉、夏祭りの花火の色、
燃える蟹の炎、降るように舞う蛍の群・・・

偶然に手に取った本ですが、思わぬ拾いものをした様な気持ちになりました。
良作だと思います。

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時をかける少女

時をかける少女 DVD 時をかける少女

販売元:PI,ASM/角川書店
発売日:2000/12/22
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「時をかける少女」と言えば、今ならアニメ版を思い浮かべる人が多いのだろうか。
私にしたら、原田知世ちゃんの映画が思い出される。

原作は読んだことがなかったのですけど、こんな短編だったとは意外でした。
(この他に「悪夢の真相」という深層心理を扱ったものと、「果てしなき多元宇宙」という時空を扱った2作品が入っています。)

ラベンダーの香りで、タイムリープするのですけど、
当時はこのラベンダーがとても神秘的に思えました。

あまりそういう印象は無かったのですけど、意外に、恋愛ものだったのですね。

リアルタイムで見ていた年代なので、とても懐かしく、楽しかったです。

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戦場のニーナ

戦場のニーナ Book 戦場のニーナ

著者:なかにし 礼
販売元:講談社
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ロシアで見つかった日本人残留孤児のニーナ。

戦場でたった一人生き残り、敵国の兵士に助けられ、その後中国人として育てられる。

自分のルーツを知らず、魂を彷徨わせながら生きるニーナが、
愛を知り、自分の肉体と存在に意味を見出すが、
恋人に裏切られ、二度の命の危機に陥る。

その間もずっと、肉親以上の情をそそぎ、支え続けてくれた里親の深い愛に気づきく。

命を救われてから60年、ようやく自分のルーツを知る機会が訪れ、
魂の救済までの、長く苦しい物語です。

フィクションではあるけれど、モデルとなった人が居る様で、あとがきの参考文献からも、
かなり、リアルに作りこまれていることが分かります。

当たり前の様に、親が居て、自分がどこからきたのか分かっている状況にある自分に、
ニーナの境遇をあてはめて考えると、どんなにか孤独で不安で、
地に足のつかない思いで人生を生きただろうかと、胸が痛くなりました。

そんな中で、ニーナの保護者役として、
彼女を守り続けたムラビヨフと、ソーニャの愛には感動しました。

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街角小走り日記

Book 街角小走り日記 (新潮文庫)

著者:群 ようこ
販売元:新潮社
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エッセイです。見開きで1つのお話なので、気軽にちょこちょこ読んでいけます。

ただ、いかんせん、エッセイにはやはり旬というものがあるというか、
この本の発行は1991年なので、すでに17年も前。

時代を反映したエピソードも、若干、今ではピントはずれという感じで、
その時読んでいたら、楽しめたのにな~と思う。

辛口で、シュールで、ちょっと自虐的なエッセイです。

どちらがだらしないか自慢し合った話では、ベットの下に転がっていった桃の種を放っておいたら、
カビが生えたうえに、ほこりがくっついて、ソフト・ボールくらいの大きさになったので、
さすがにもう触れないんだよね。という群さんの友人にはまいった!(笑)

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イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1) イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)

著者:乾 くるみ
販売元:文藝春秋
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あ~あ、すっかりダマされましたよ。
「乾くるみさんって、推理小説家なんだー。
それなのに、今回は、おもいっきりの恋愛小説??」
なーんて思っていましたが、そんな訳ないんですよね。

これが、推理小説家が書く恋愛小説!なのですね、納得。

そんなトリックが仕掛けられているなんて、露とも知らなかったです。

ほんとに、最後の最後に。「え・・・?」みたいな。
最後まで読んでから、はてなマークが沢山飛びましたよ。

何となくところどころに、違和感はあったんです。
でも、小説の内容自体を楽しんでいたので、
細部の論理的矛盾なんて、すっと通り過ごしていたし、
あまり、気にしていませんでした。
もちろん、そこにはミスリードが仕組まれているんですけどね。

推理なんてとても苦手なジャンル。
結局、詳しく解説してくれているサイトさんて、種明かしをしてもらい、
ようやく、なーるほど。
物語が、全く違うものになりました。うまいです。

物語の内容自体は、いたってシンプルですけど、
いたるところにしかけられたトリックが巧妙です。

謎解きが得意な方はピンとくるのかもしれませんけど、
私にはこういう仕掛けは、難し過ぎましたー。

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クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3) クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

著者:松尾 スズキ
販売元:文藝春秋
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お話の舞台は、精神病院の閉鎖病棟で、
結構シリアスな内容なのに、
それに反して、軽いかたりで書かれています。

主人公の女性の一人称視点なんだけど、
最初、男性著者が書く女性像にちょっと違和感を感じました。わざと下品に書いているのかもしれませんが。

このお話って、著者が監督を務めて、映画化されているんだそうですけど、
テーマの割には、軽いので安っぽいものになるんじゃないか?なんて思ってしまいました。

でも、「うっかり落ちた場所が、ここだった」
みたいな感じで、精神病棟(しかも閉鎖病棟)の患者たちが、各々思ってて、
だから、誰もシリアス感がないんですよね。

精神病棟(閉鎖病棟)って、
うっかり出たり入ったりするところっていうか、
正常と異常の境ってけっこう無かったりするんじゃないかってそんな印象を受けました。

軽く書いてるのはその効果を狙っているのかもしれませんね。

ちなみに映画のキャストが、
内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶという顔ぶれで、
なかなか役柄に合って、いい感じだと思うので、
急に映画にも興味がそそられました。

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麦ふみクーツェ

麦ふみクーツェ (新潮文庫) 麦ふみクーツェ (新潮文庫)

著者:いしい しんじ
販売元:新潮社
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いしいしんじさんの物語の世界は、
やっぱり独特だなぁ~。

今回は長編で、物語がしっかりそこで出来上がっている感じ。

気の荒い船乗りが行き交う、小さな田舎の港町、
カスタネットを広げた様な形の都会の町、
大きな女の人ばかりの、寒村。

それらはどこかにありそうで、
でも、きっと、無いんだろうな。
いしいさんの空想の世界なんだろうな。

とてもリアルなのに、
空からねずみが降ってきたり、
ねずみの楽園の話とか、海から恐竜とか・・・
そういう事柄がうまく織り交ぜてある。

物語のどの要素も、どこか人と違うものばかりで、
まず、主人公は、バカでかい少年だし、
父親は、数学狂いで、変な実験ばかりしているし、
おじいちゃんは、偏屈で、音楽そのものみたいな人だし、

盲目のボクサーや、みどり色という全色盲少女や・・・もうどれをとっても、
ちょっと目立つ存在の人ばかり。

一番は、僕の中から聞こえる「とん、たたん とん」というクーツェの麦ふみの音。

この本って、自分探しの旅なのかなって思います。
人と違った自分に戸惑いながら、こんなものかと生きてきた少年が、
自分のルーツを知ったとき、
初めて、自分を受け入れて、これからの生き方をしっかりとつかむ、みたいな。

何か、ふざけている様で、とても深い物語だったような気がする。

この世の「音」についても、深い考察がなされていると思うし。
物語全体に音があり、音楽が流れ、合奏する喜びに満たされている気がします。

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こころの処方箋

こころの処方箋 (新潮文庫) こころの処方箋 (新潮文庫)

著者:河合 隼雄
販売元:新潮社
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心理療法家の著者は、物の見方が、柔軟で、
全く断定したりすることがない。

心理療法家として、数多くのカウンセリングを行ってこられた経験上から出ることばの数々は、
平たく分かりやすいものでありながら、とても説得力がある。
当たり前のことを改めて、言葉にすることは案外難しいことなのに、
それを上手にやって、語りかけてくれるから、
納得して自分の中に吸収することが出来る。

何となく感覚的に感じていたり思っていたりすることを、
きちんと順序だてて教えてくれるから、「なるほど」と、
心に入ってきて、そして刻まれる。

一つ一つのお話は、短くて、だから読みやすいし、
講釈ばかりだと疲れてしまうけど、そういったうざったさは無い。

目次だけを眺めていても楽しいもので、
この中で、自分が心に残ったものは、
「人のこころなどわかるはずがない」
「ふたつよいことさてないものよ」
「一人でも二人、二人でも一人で生きるつもり」
「ものごとは努力によって解決しない」
「男女は協力し合えても理解し合うことは難しい」
等などです。
読む人によって、心に留まるものは様々だと思います。
それぞれに、好きな言葉をこの55の項目のうちに見つけられたらいいのではないかと思いました。 

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