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ニシノユキヒコの恋と冒険

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫) ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

著者:川上 弘美
販売元:新潮社
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『ひとり日和』(青山七恵著)の感想で、川上さんとダブッてしまうと、
感想を書いたけれど、
川上さんの作品を読んだら、全然違うこと分かる。やっぱりこの人はオンリーワンだ。

言葉の使い方がやっぱり独特だ。それがあちこちに、出てくる。
文章の端々に川上さん独特の言い回しが出てくるのだけれど、
多すぎて、拾い出せないのが残念。
「今にも愛してしまいそうだった」ってのも良かったな。

ニシノユキヒコの10人の女性との恋の遍歴が短編となって紡がれていくのだが、
モテるのに、いつも女性に去られてしまうニシノユキヒコという男性は、
生涯、幸せを捜し求めて放浪し続けた、寂しい男性だよなぁ。

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心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて 心にナイフをしのばせて

著者:奥野 修司
販売元:文藝春秋
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ちょうど「模倣犯」を読んだ後だったので、
事件のルポのことや、被害者の遺族のその後の人生に及ぼす影響等、
内容がかぶるものがあった。
ただ、こちらの『心にナイフをしのばせて』は、現実の事件のルポである。
1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の、その28年前にも、
15歳の少年が、同級生の首を切断して殺害したという事件があったのだそうだ。

加害者の少年については、人権保護のため、直接の取材は出来ないので、
遺族側からの取材によって得られた情報で構成されている。
そこには、本当の被害者の姿があった。
本当に守られるべきものは、加害者の人権ではなく、被害者の遺族達だと思う。

事件の全貌は分かってきたものの、「なぜ?」という事件の動機などが、やはり明確ではない。
30年余りたっても、一度の謝罪もないその精神構造はどうなっているのか。
しかも、弁護士になっているというのだから驚きだ。
少年の犯罪は、前歴となっても、前科にはならないので、
少年院を出た後、彼は新しい人生をスタートさせていたのだ。
そして、裕福な暮らしが出来るようになっているにもかかわらず、慰謝料も払おうとしない。
遺族が、謝罪を要求して、たまらず連絡をとったくだりでは、
「(お金は)少しなら貸してやるから、実印と印鑑証明を用意してくれ」
等と言い出したのだから、仰天してしまった。
どの口がそんなことを言えるのか、もう理解不能だ。寒気がした。
そんな人が、一般社会の中で普通に日常生活を送っているのだから、恐ろしい。
加害者の人生はリセットされるのに、遺族の苦しみは永遠に続くなんて、
理不尽だし、不平等すぎる。

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模倣犯上・下

模倣犯〈上〉 模倣犯〈上〉

著者:宮部 みゆき
販売元:小学館
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模倣犯〈下〉 模倣犯〈下〉

著者:宮部 みゆき
販売元:小学館
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大作ですね。帯カバーの案内によると、原稿用紙3551枚だそうです。
それを書いた宮部みゆきさんが、まずすごいと思いました。

連続女性殺人事件を追って、それに振り回される世間や警察や、マスコミの人々。
犯人を中心として、被害者や、その遺族達、それぞれの目線で物語は進んでいきます。

でも、やはり何よりも遺族の気持ちにスポットをあてている気がします。
物語は終盤を迎え、事件は解決しますが、
遺族の気持ちは何ら救われることはありません。
これからもずっと癒されることはない。

全巻通じて、常に冷静沈着であった遺族の立場で登場する有馬義男が、
最後の最後に見せた、「身も世もないようにむせび泣く姿」に、
本当にいたたまれなくなりました。

そして犯人も、捕まっても「一巻の終わり」風ではなく、
まだまだこれからも同じように、手を変え品を変え、
どこででも続きをやってやるといった姿勢なので、それも恐ろしくなりました。

でも、一つ救いは、有馬義男が言った言葉の様に、
「嘘は必ずばれる。本当のことは、どんなに遠くに捨てにいっても、
必ずちゃんと帰り道を見つけて帰ってくるものなんだ」ということです。

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天国の本屋

天国の本屋 (新潮文庫) 天国の本屋 (新潮文庫)

著者:松久 淳,田中 渉
販売元:新潮社
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絵本のような、メルヘンちっくで優しい本です。
著者もストーリーも全然違うけど、「いま、会いにゆきます」の雰囲気を思い出させます。
共通するのは、優しい奇跡。

本好きなら、本の中に本や本屋さんなんかが出てくるものは、
ちょっと興味を惹かれますよね。まず、タイトルで選んでしまいました。

人間の寿命は皆等しく100年と決められていて、
現世で、20歳で死んだ場合、残りの80年の天寿を「天国」でまっとうする。
そんな設定もいいですね。

天国の本屋でアルバイトをすることになったさとしが起こす、
優しい奇跡に、読後は心があったかくなります。

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ひとり日和

ひとり日和 ひとり日和

著者:青山 七恵
販売元:河出書房新社
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川上弘美さんとダブってしまいました。キャラの設定でしょうか。
20歳の知寿(ちず)の会話を聞いていると、川上さんの作品に出てくるような、
飄々と人生の波に流されながら生きている人みたい。
恋人との別れとか、恋愛の始まりとか、何かの決断を自分でしないで、
人生が流れていく人。すごく自然体で、良くも悪くも、少し憧れる。

「若いわねぇ」と嬉しそうに言うお店のおばさんに、
「ええ、若いんです」と平然と答えたり、
「生きてる意味がない気がする」なんて思ったりもする。
20歳には20歳の、悩みってあったんだなぁって、
過ぎてしまえば、「若いだけで素晴らしい」なんて今の自分は思ってしまうけど。

その20歳の知寿と、71歳の吟子さんの、共同生活の四季折々。
20歳の若い女の子と、おばあさんの吟子さん、
共通点なんてないこの二人の生活と会話が、案外普通に流れていくんですね。
普通にお互いの恋愛話をしたり、慰めたり、慰められたり。
若さを感じたり、年の功を感じたり、すごく普通に。

こういう年齢の差を感じさせない話の流れも、
川上さんの「センセイの鞄」なんかを思いださせるし、
「小さいころから、わたしは手くせが悪かった。」っていう、
唐突なこんな文章も、面白いなって思った。
ちょっとひねくれた主人公とか、毒気があってピリっとした作品でした。

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