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イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1) イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)

著者:乾 くるみ
販売元:文藝春秋
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あ~あ、すっかりダマされましたよ。
「乾くるみさんって、推理小説家なんだー。
それなのに、今回は、おもいっきりの恋愛小説??」
なーんて思っていましたが、そんな訳ないんですよね。

これが、推理小説家が書く恋愛小説!なのですね、納得。

そんなトリックが仕掛けられているなんて、露とも知らなかったです。

ほんとに、最後の最後に。「え・・・?」みたいな。
最後まで読んでから、はてなマークが沢山飛びましたよ。

何となくところどころに、違和感はあったんです。
でも、小説の内容自体を楽しんでいたので、
細部の論理的矛盾なんて、すっと通り過ごしていたし、
あまり、気にしていませんでした。
もちろん、そこにはミスリードが仕組まれているんですけどね。

推理なんてとても苦手なジャンル。
結局、詳しく解説してくれているサイトさんて、種明かしをしてもらい、
ようやく、なーるほど。
物語が、全く違うものになりました。うまいです。

物語の内容自体は、いたってシンプルですけど、
いたるところにしかけられたトリックが巧妙です。

謎解きが得意な方はピンとくるのかもしれませんけど、
私にはこういう仕掛けは、難し過ぎましたー。

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クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3) クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

著者:松尾 スズキ
販売元:文藝春秋
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お話の舞台は、精神病院の閉鎖病棟で、
結構シリアスな内容なのに、
それに反して、軽いかたりで書かれています。

主人公の女性の一人称視点なんだけど、
最初、男性著者が書く女性像にちょっと違和感を感じました。わざと下品に書いているのかもしれませんが。

このお話って、著者が監督を務めて、映画化されているんだそうですけど、
テーマの割には、軽いので安っぽいものになるんじゃないか?なんて思ってしまいました。

でも、「うっかり落ちた場所が、ここだった」
みたいな感じで、精神病棟(しかも閉鎖病棟)の患者たちが、各々思ってて、
だから、誰もシリアス感がないんですよね。

精神病棟(閉鎖病棟)って、
うっかり出たり入ったりするところっていうか、
正常と異常の境ってけっこう無かったりするんじゃないかってそんな印象を受けました。

軽く書いてるのはその効果を狙っているのかもしれませんね。

ちなみに映画のキャストが、
内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶという顔ぶれで、
なかなか役柄に合って、いい感じだと思うので、
急に映画にも興味がそそられました。

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麦ふみクーツェ

麦ふみクーツェ (新潮文庫) 麦ふみクーツェ (新潮文庫)

著者:いしい しんじ
販売元:新潮社
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いしいしんじさんの物語の世界は、
やっぱり独特だなぁ~。

今回は長編で、物語がしっかりそこで出来上がっている感じ。

気の荒い船乗りが行き交う、小さな田舎の港町、
カスタネットを広げた様な形の都会の町、
大きな女の人ばかりの、寒村。

それらはどこかにありそうで、
でも、きっと、無いんだろうな。
いしいさんの空想の世界なんだろうな。

とてもリアルなのに、
空からねずみが降ってきたり、
ねずみの楽園の話とか、海から恐竜とか・・・
そういう事柄がうまく織り交ぜてある。

物語のどの要素も、どこか人と違うものばかりで、
まず、主人公は、バカでかい少年だし、
父親は、数学狂いで、変な実験ばかりしているし、
おじいちゃんは、偏屈で、音楽そのものみたいな人だし、

盲目のボクサーや、みどり色という全色盲少女や・・・もうどれをとっても、
ちょっと目立つ存在の人ばかり。

一番は、僕の中から聞こえる「とん、たたん とん」というクーツェの麦ふみの音。

この本って、自分探しの旅なのかなって思います。
人と違った自分に戸惑いながら、こんなものかと生きてきた少年が、
自分のルーツを知ったとき、
初めて、自分を受け入れて、これからの生き方をしっかりとつかむ、みたいな。

何か、ふざけている様で、とても深い物語だったような気がする。

この世の「音」についても、深い考察がなされていると思うし。
物語全体に音があり、音楽が流れ、合奏する喜びに満たされている気がします。

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こころの処方箋

こころの処方箋 (新潮文庫) こころの処方箋 (新潮文庫)

著者:河合 隼雄
販売元:新潮社
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心理療法家の著者は、物の見方が、柔軟で、
全く断定したりすることがない。

心理療法家として、数多くのカウンセリングを行ってこられた経験上から出ることばの数々は、
平たく分かりやすいものでありながら、とても説得力がある。
当たり前のことを改めて、言葉にすることは案外難しいことなのに、
それを上手にやって、語りかけてくれるから、
納得して自分の中に吸収することが出来る。

何となく感覚的に感じていたり思っていたりすることを、
きちんと順序だてて教えてくれるから、「なるほど」と、
心に入ってきて、そして刻まれる。

一つ一つのお話は、短くて、だから読みやすいし、
講釈ばかりだと疲れてしまうけど、そういったうざったさは無い。

目次だけを眺めていても楽しいもので、
この中で、自分が心に残ったものは、
「人のこころなどわかるはずがない」
「ふたつよいことさてないものよ」
「一人でも二人、二人でも一人で生きるつもり」
「ものごとは努力によって解決しない」
「男女は協力し合えても理解し合うことは難しい」
等などです。
読む人によって、心に留まるものは様々だと思います。
それぞれに、好きな言葉をこの55の項目のうちに見つけられたらいいのではないかと思いました。 

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