麦ふみクーツェ
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麦ふみクーツェ (新潮文庫) 著者:いしい しんじ |
いしいしんじさんの物語の世界は、
やっぱり独特だなぁ~。
今回は長編で、物語がしっかりそこで出来上がっている感じ。
気の荒い船乗りが行き交う、小さな田舎の港町、
カスタネットを広げた様な形の都会の町、
大きな女の人ばかりの、寒村。
それらはどこかにありそうで、
でも、きっと、無いんだろうな。
いしいさんの空想の世界なんだろうな。
とてもリアルなのに、
空からねずみが降ってきたり、
ねずみの楽園の話とか、海から恐竜とか・・・
そういう事柄がうまく織り交ぜてある。
物語のどの要素も、どこか人と違うものばかりで、
まず、主人公は、バカでかい少年だし、
父親は、数学狂いで、変な実験ばかりしているし、
おじいちゃんは、偏屈で、音楽そのものみたいな人だし、
盲目のボクサーや、みどり色という全色盲少女や・・・もうどれをとっても、
ちょっと目立つ存在の人ばかり。
一番は、僕の中から聞こえる「とん、たたん とん」というクーツェの麦ふみの音。
この本って、自分探しの旅なのかなって思います。
人と違った自分に戸惑いながら、こんなものかと生きてきた少年が、
自分のルーツを知ったとき、
初めて、自分を受け入れて、これからの生き方をしっかりとつかむ、みたいな。
何か、ふざけている様で、とても深い物語だったような気がする。
この世の「音」についても、深い考察がなされていると思うし。
物語全体に音があり、音楽が流れ、合奏する喜びに満たされている気がします。
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