『レインツリーの国』

レインツリーの国 (新潮文庫 あ 62-1) レインツリーの国 (新潮文庫 あ 62-1)

著者:有川 浩
販売元:新潮社
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ネット上に書かれたある本の感想がきっかけで始まる恋。
この方の書く恋愛は、すごくまっとうで好ましい。

有川浩さんの本は他に『阪急電車』しか読んだことがないが、
あの小説の中の恋愛も、好感が持てるものばかりだった。
まっとうというのは、清く正しくというのではなく、
まじめに向き合っているというか、ちゃんと恋愛してるという感じ。

すったもんだして、泥臭いこともあって、ケンカして傷つけて、
それでも、相手から離れない。これぞ恋愛って感じ。
そのひたむきさが好感がもてるのかな。

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『阪急電車』

 阪急電車 阪急電車
販売元:セブンアンドワイ
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自分が知る場所が舞台なだけでも、面白いのですが、
この作品はそれを差し引いても純粋に面白かったです。

電車を舞台に乗り降りする人の人生をつかの間垣間見れます。
進行していく駅ごとに物語があり、物語同士がすれ違ったり、
また、重なったりしながら、連作短編形式で進んでいきます。

阪急電車の今津線という、ローカル線で各駅停車の距離の短さが程よく、読みやすいです。
片道分だけでも満足でしたが単行本様に追加された折返し分で、
より深みが出て面白くなりました。

こんなにおもいっきりの恋愛小説とは思っていませんでしたが、
作者が女性と聞いて、同感出来る内容が多かったのにも頷けました。

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『オレンジソース』

オレンジソース (きらきらジュニアライブシリーズ) オレンジソース (きらきらジュニアライブシリーズ)

著者:西田 多希,魚住 直子
販売元:佼成出版社
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いじめから脱却するための、一歩。その一瞬を捉えた作品です。
とても短くて、大きな活字なので、すぐに読めます。

いじめは、極ささいなことから始まりますよね。特に小学生の頃は。
少し目立つことをしたら、それをしつこくからかわれて、それがいじめにつながる。
オレンジソースというお洒落なワードが、
いじめのニックネームになっているとは・・・
こういう洒落た言葉も、「気取っている」や「えらそう」という風になり、
いじめの対象になるというのは驚きではありますが。

この作品の、この「一歩」の後が気になるところですが、
それはさて置き、この一歩の勇気が何よりも大事ということですね。

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『妊娠カレンダー』

妊娠カレンダー (文春文庫) 妊娠カレンダー (文春文庫)

著者:小川 洋子
販売元:文藝春秋
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芥川賞受賞作。

なかなかインパクトのある表題で、その他に「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」
という3つの短編からなっています。

どの作品も、ひんやりとした雰囲気が漂う、少しぞくっとする独特の世界観で描かれていました。

こういう作風、好きだなぁ。
久しぶりに小川さんの書く静謐な雰囲気にふれた気がしました。

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『なかよし小鳩組』

なかよし小鳩組 なかよし小鳩組

著者:荻原 浩
販売元:集英社
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1998年発売というから、今から10年以上前。
表紙がちょっとレトロな感じを受けるので、昔の本かな?と思いました。
中身もところどころ時代を感じさせたりして。

タイトルから、かつて幼稚園の「こばとぐみ」だった同級生が、
おやじになってからの物語かな、なんて勝手に想像していましたが、
まるっきり違いました。
そんなかわいい「こばとぐみ」ではありませんでした。

2,3文句をつけたいところが、個人的にはありましたが、
トータルでは面白かったです。
特に小鳩組との面々との絡みは笑えましたし、人情味もあって、こわ面白く楽しめました。

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『おひとりさまの老後』

おひとりさまの老後 おひとりさまの老後

著者:上野 千鶴子
販売元:法研
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結婚してても、してなくても、子供が居ても居なくても、
「おひとりさま」になる可能性は誰にでもあって、
そして、そうなった時の備えに、こうしておくべし!というマニュアル(?)本。

これらの心得をしておけば、いざ「おひとりさま」になっても、
何も不安になることはないという。

一人の老後を想像するには、まだピンと来ない年齢だけれど、
「一人」に対する考え方を、誰かと居る間から持っていれば、
「一人」に対する免疫が出来て、急に慌てずに済みそうだ。

絶対安心ということは無いのだから、常から自立しておくのは重要なことだろう。

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春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る―

春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫) 春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫)

著者:宇江佐 真理
販売元:新潮社
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読後、私の中にも春風吹きました。そんな爽やかな本です。

真面目一徹、実直だけが取り柄の五郎太。
最初は何だかパッとしなくて、その控えめな性格も悪くいえば消極的で、
立身出世の野望もあるのやら無いのやらという感じでしたが、あることから、変わり始めます。
案外、こういうことは男も女も今も昔も変わらないのかも。

でも、きっかけはどうであれ、やり遂げること、志を高くもつこと、常に努力する事、
そういうコツコツとした継続が自然と結果を生み出すものなのですね。

またちゃんと見い出してくれる人もいる訳です。

どんなことも不可能はない、為せば成る、といった夢を与えてくれます。

人生捨てたもんじゃないんです。

ふてくされていては何も変わらないし、努力だけで何とかなるほど人生甘くないけど、
諦めないで頑張っていれば、自然と道が開けてくる。

本の中で、「世の中なんてそんなものよ。願っても叶えられないこともあれば、何の苦もなく手に入る時だってあるんだから」ということも出てきますが、

たなぼたは、そのままありがたくうけとって、そこは柔軟に。
努力だけは惜しまずに精進していきたいな、なんて前向きに考えられる本でした。

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ヴィヴァーチェ(紅色のエイ)

ヴィヴァーチェ  紅色のエイ (銀のさじ) ヴィヴァーチェ 紅色のエイ (銀のさじ)

著者:あさの あつこ
販売元:角川グループパブリッシング
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近未来の地球が舞台ですが、何だか今の格差社会がもっともっと進んだ様な社会す。
灰汁色の霧に覆われる最下層地区の貧しい暮らしをしているヤンとその親友ゴドは、
いつか、ロケットで宇宙に出ようという夢を持つ・・・・

未来は未知。
何がおこるかわからないから、あきらめない。
ヤンはそう思っています。

なんだか、え?え?という間に最後は話が展開していきますが、
これが、いわゆる、未来は未知ということで・・・。
ファンタジーだから、細かいことはさておき・・・なのでしょうか。

と思っていたら、どうやら、これは第1弾で、続きが出る様ですね。なるほど。
物語が一気に展開して、さぁ、これからどうなる!?ってところで終わっているので、納得しました。
まだまだ序章の段階なのでしょうね。それならやはり、まだ先を読みたいです。

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天国で君に逢えたら

天国で君に逢えたら (新潮文庫) 天国で君に逢えたら (新潮文庫)

著者:飯島 夏樹
販売元:新潮社
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これは、先日読んだ『ガンに生かされて』の著者、飯島夏樹さんの初の小説です。
同じタイトルで映画にもなっていたので、てっきりドキュメンタリーかと思っていましたら、
こちらは全くの小説でした。

ただ、ご自身のことや体験されたことも多分に投影されている様でした。

ある精神科医が病院内で、ガン患者の心の叫びを手紙におこす「手紙屋Heaven」をやっていく中で
出会う人々の話なのですが、
ドキュメンタリー本の『ガンに生かされて』の時にも感じましたが、
この方は、本当に根っから明るいユーモアのある方なのだなと思いました。
ご自身もガンで闘病中なのだから、もう少し暗い影のさした本になりそうなものなのに、
明るさがにじみ出ているといった感じ。

ただ、ドキュメンタリーの本を読んだ後だったので、やはりそちらの方が衝撃が大きく、
小説の方は少し軽く感じてしまいました。

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大五朗は天使のはねをつけた

大五郎は天使のはねをつけた (人間と動物・愛のシリーズ) 大五郎は天使のはねをつけた (人間と動物・愛のシリーズ)

著者:大谷 英之,大谷 淳子
販売元:旺文社
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内容は、以前読んだ『ありがとう大五郎』とほぼ同じだけれど、
こちらの本は、奥様の淳子さんの日記の様な形で、綴られている。

淳子さんには、3人のお嬢様がいらっしゃるけれど、
四番目の子供の様に、大五朗を育てられていた。
四番目の一番小さくて、頼りなくて、かわいい一人息子として。

四肢がなく、不自由な体で、懸命に生きる姿や、いつも自分を頼ってくるところに、
情が湧かないわけがないし、手がかかる分、愛おしさも増すというものだ。

本にも書かれていたが、世間には心ないことを言う人もいる。
「こんなもの、かっていたって、手がかかるだけなのに。それに長生きしないでしょうにねぇ」
これも、淳子さんが心を痛められた言葉の一つだ。

長生きしないから、手がかかるから、飼っていたって仕方がない・・・
それはまったく見当違いな考えですよね。

大五朗が、どれだけ沢山の幸せを淳子さんや、家族に与えてくれたことか。

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僕の妻はエイリアン

僕の妻はエイリアン 「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 僕の妻はエイリアン 「高機能自閉症」との不思議な結婚生活

著者:泉 流星
販売元:新潮社
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これまた、タイトルだけで面白そうかな?と選んだ本でした。

面白かったです。ドキュメンタリーなのですが、人って本当にいろいろだし、
夫婦のあり方もいろいろ。でも、そんなのもアリなんだなって。

サブタイトルは『「高機能自閉症」との不思議な結婚生活』なのですが、
自閉症の症状を持っていると、何気ない日常生活も、ものすごく大変なのですが、
ものすごく大変っていうのと、ものすごく刺激的で、この妻以外では絶対に経験できない面白いことっていうのと、両極端に存在してて、
だから、この結婚生活が、幸か不幸かなんてことは計り知れない。

この本の内容自体面白かったのですが、ネタバレになるので書けませんが、
もう一つサプライズがありました。

やっぱり、妻はぶっ飛んだ人なんだなぁ~って。
地球人の脳とはまったく違うのが、エイリアンたる所以なのです。

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ボケずに長生きできる脳の話

ボケずに長生きできる脳の話 (新潮文庫 あ 52-2) ボケずに長生きできる脳の話 (新潮文庫 あ 52-2)

著者:天野 惠市
販売元:新潮社
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面白そうかな?とタイトルだけで選んだ本ですが、
著者は、脳神経外科の先生で、広く脳の医療分野でその知識を広めるために活動されていらっしゃいます。

たぶん、脳外科の医師として多くの症例を目の当たりにし、
脳の病気によって、それまでの人生から一転した人を多く見てきたせいなのでしょう、
何とかして、「ボケずに長生きする」方法をひたすら、書かれています。

でも、脳の病にかかってしまたったら、一巻の終わりの様な書き方や、
ボケてしまっては、生きていても仕方がない・・・云々という考え方には、
同調しかねるものがありました。

確かに医学的な見地からおっしゃっていることは分かるのですが、
病=不幸 ボケずに長生き=幸せ
という単純なものではないと思うからです。
読んでいて、少しそういった部分が強調されると、いやな気持ちになりました。

でも、それ以外の部分では、いろんな情報が載っていて、
為になることも沢山ありました。おもしろい情報も得ることが出来ます。
なので、「健康でいるために・・・」というくらいの気持ちで受け止めることにしました。

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海ちゃん―ある猫の物語―

海ちゃん―ある猫の物語 (新潮文庫) 海ちゃん―ある猫の物語 (新潮文庫)

著者:岩合 光昭,岩合 日出子
販売元:新潮社
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写真家の岩合光昭さんと日出子さんご夫婦の愛猫 海(かい)ちゃんの一生を綴ったフォトエッセイです。
その美貌に魅せられてもらいうけた海ちゃんですが、
最初は、お腹に回虫がたくさんいたから回虫の「回ちゃん」だったらしいです。
それではあんまりかわいそうだと、後に「海」という字をあてたそうです。

しばらく人2人と猫一匹の生活でしたが、ご長女の誕生やら、
お仕事の都合から、海ちゃんは、奥様のご実家の神奈川県の厨子で、過ごすことになります。
この実家(おばあちゃんのお宅)が、またすごいんです。
先住の猫ちゃんたちがたーくさん。
しかも、とても自由なんです。飼い猫ではあるけれど、かなり自然な環境の中で、
のびのびと暮らしている様が、ご主人の岩合光昭さんの写真によく現れています。

海ちゃんもその中で、成長し恋をし出産をし子育てをしました。
何と6回も出産して、たくさんの赤ちゃんを産んだそうです。実り多い一生ですね。

日出子さんは、軽いタッチで書かれていますが、
離れて暮らしていても、その愛情が深いことが分かります。

命あるものですから、最期の時はやってきますが、
それよりも海ちゃんの素敵な一生の輝きの方が強く印象に残る本でした。

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重力ピエロ

重力ピエロ (新潮文庫) 重力ピエロ (新潮文庫)

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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伊坂さん初読みです。サクサク軽快に読めました。
伊坂さんの作品がいつもこういう感じなのか分かりませんが、
題名の「重力ピエロ」の様に、重力を感じさせないピエロの空中ブランコの様な作品です。

連続放火事件が起こり、その犯人が誰であるかっていうミステリーかと思いきや、
実は、そうではなく家族小説の様だし、
もっと他に言いたいこと、善悪についてとか、そういったことを言及してる気もする。

でもその割に、重さを感じないという、うまい作品です。
振り返れば、なるほどって思える仕組みが沢山あって、
よく出来てるなぁ~って感心してしまいました。

三分の二くらいまでどういう顛末になるか、先が読めなかったけど、
真相が明らかになってきて、ほー!ってびっくりさせられ、
そこから、物語が佳境に入ってさらに一気に読みました。

登場人物たちも、普通の様で普通でないという、そういうキャラも重力を感じさせない理由の一つなのでしょうね。

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ありがとう大五郎

ありがとう大五郎 (新潮文庫) ありがとう大五郎 (新潮文庫)

著者:大谷 英之,大谷 淳子
販売元:新潮社
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大五郎という手足の無い猿との出会いから別れの記録です。
動物と触れ合うことで、人間が学ぶことは沢山あると思う。
与えるものよりも、与えてもらうものの方が多いかもしれない。
だから最期に「ありがとう」って言葉が自然に出るんだと思う。

別れのときは、寂しいし悲しいけど、それでも出会えて良かったと、
一緒に過ごせた日々に感謝してしまう。

自分が動物を飼い始めてそういったことが、リアルに想像できるし、
実感できるので、とても共感できる部分が多かった。

この本は、半分写真集でもある。写真家である御主人が撮られた写真に、
家族の各々が、その時のエピソードとともに、感情をつづっている。

主に世話をしていたのは母親で、
個人的には、母親の目線が一番近く感情移入できる部分は多かったのだけれど、
多感な時期だった長女や次女、まだ幼かった末娘の視点から語られる言葉も興味深かった。

大五郎を引き取り育て、亡くしたその2年と数ヶ月が、
家族の一人ひとりにとって、また家族のつながりに大きな影響を与えた。

母淳子さんは子供達に、大五郎や障害をもった人たちとの出会いと経験を、
これからの歩みに役立て、心豊かになって欲しいと願って、あとがきを閉じています。

御夫婦は、その後障害者に優しい宿を開かれ、また娘達もそれぞれの人生を歩み出し、
長女は二児の母となっておられる様です。
きっと、家族の心から大五郎の記憶は消えることはないし、
手足の無い体で懸命に生き抜いたその姿からは、永遠に勇気と励ましをもらえるだろうと思う。

実際に一緒に過ごした訳ではなくても、
この本を知ることで、私達にもたくさん与えられるものがあると思う。

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ガンに生かされて

ガンに生かされて (新潮文庫 い 82-2) Book ガンに生かされて (新潮文庫 い 82-2)

著者:飯島 夏樹
販売元:新潮社
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読む前は、こういう闘病の本は、きっと涙なくしては読めないだろうと、
重い雰囲気を想像して、覚悟して読み始めたのだけれど・・・
確かに、体の状態は悪化していき、生死の境をさまよう事態にも何度も陥る。

だけど、そういった状況の中で、逆に気持ちがとても元気で、
生きる力にあふれているのが感じられるのが不思議だった。

文章だけ読んでいれば、この人元気なんじゃないかって、
とてもガンのターミナル患者が書いてるとは思えない。

「生かされている」という強い意識、
そしてその生かされている理由は、自分には使命があり、それは執筆活動だという。
この本のあとがきが書かれたのは、死の5日ほど前だというのだから、驚きだ。

実際に、彼の残したこの本を、彼の死後、私の様に手に取る者がいて、
そして、何かしらの感銘を受け、彼の言葉に共感する。
神様が与えた使命の成果が確実にあるわけだ。

彼の人生が本となり、また彼の残した作品が映画となり、多くの人の目にふれる。
「ガンになってよかった」って言える人の人生を知ることは、
少なからず、人に何かを感じさせると思う。
何を感じるかは人それぞれで、何かを感じてくれればそれでいいと夏樹さんもおっしゃってる。

「命は神の領域」そんな風に、自分の命の期限を神様に委ねて、
心穏やかに、自然の美しさに感動し、生かされていることに感謝しながら、
終末期を過ごされていた。
そこにいたるまでには、きっと長く辛い時期もあったと思う。

そんな彼の言葉だからこそ心に響いてくる。
そして自分が健康であるがゆえに、今どれほど傲慢な思いでいるかが分かる。

「人間なんて五十歩百歩」という考え方には、肩の力が抜けて、楽になるし、

「思い煩いや心配が何かを解決したことなどない。
心配しても心を枯らすくらいだろう。信じることの方が大切だ。」
という言葉には、深く納得する。

病になったからこそ、深める家族の絆があったりします。
四人の子供達や奥様の様子から負のエネルギーは感じられません。
すばらしい家族を築かれたと思います。人生は長さじゃないですね。素晴らしい本でした。

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リピート

リピート (文春文庫 い 66-2) Book リピート (文春文庫 い 66-2)

著者:乾 くるみ
販売元:文藝春秋
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10ヶ月前に遡って、人生をやり直すことができます。
そんな時間旅行に行きませんか?という誘いから始まる。

そうやって、人生をやり直す(=リピート)時間旅行に参加した10人のメンバー達だが、
リピート先の世界で、一人、また一人と怪死を遂げる。

SF要素あり、ミステリー要素あり、恋愛要素ありのあわせ技を見せてくれました。

前回読んだ「イニシエーション・ラブ」でも大技を繰り広げてくれましたが、
この乾さんは、いつも何かしら仕掛けてくれるので、読む楽しみがありますね。

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イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1) イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)

著者:乾 くるみ
販売元:文藝春秋
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あ~あ、すっかりダマされましたよ。
「乾くるみさんって、推理小説家なんだー。
それなのに、今回は、おもいっきりの恋愛小説??」
なーんて思っていましたが、そんな訳ないんですよね。

これが、推理小説家が書く恋愛小説!なのですね、納得。

そんなトリックが仕掛けられているなんて、露とも知らなかったです。

ほんとに、最後の最後に。「え・・・?」みたいな。
最後まで読んでから、はてなマークが沢山飛びましたよ。

何となくところどころに、違和感はあったんです。
でも、小説の内容自体を楽しんでいたので、
細部の論理的矛盾なんて、すっと通り過ごしていたし、
あまり、気にしていませんでした。
もちろん、そこにはミスリードが仕組まれているんですけどね。

推理なんてとても苦手なジャンル。
結局、詳しく解説してくれているサイトさんて、種明かしをしてもらい、
ようやく、なーるほど。
物語が、全く違うものになりました。うまいです。

物語の内容自体は、いたってシンプルですけど、
いたるところにしかけられたトリックが巧妙です。

謎解きが得意な方はピンとくるのかもしれませんけど、
私にはこういう仕掛けは、難し過ぎましたー。

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麦ふみクーツェ

麦ふみクーツェ (新潮文庫) 麦ふみクーツェ (新潮文庫)

著者:いしい しんじ
販売元:新潮社
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いしいしんじさんの物語の世界は、
やっぱり独特だなぁ~。

今回は長編で、物語がしっかりそこで出来上がっている感じ。

気の荒い船乗りが行き交う、小さな田舎の港町、
カスタネットを広げた様な形の都会の町、
大きな女の人ばかりの、寒村。

それらはどこかにありそうで、
でも、きっと、無いんだろうな。
いしいさんの空想の世界なんだろうな。

とてもリアルなのに、
空からねずみが降ってきたり、
ねずみの楽園の話とか、海から恐竜とか・・・
そういう事柄がうまく織り交ぜてある。

物語のどの要素も、どこか人と違うものばかりで、
まず、主人公は、バカでかい少年だし、
父親は、数学狂いで、変な実験ばかりしているし、
おじいちゃんは、偏屈で、音楽そのものみたいな人だし、

盲目のボクサーや、みどり色という全色盲少女や・・・もうどれをとっても、
ちょっと目立つ存在の人ばかり。

一番は、僕の中から聞こえる「とん、たたん とん」というクーツェの麦ふみの音。

この本って、自分探しの旅なのかなって思います。
人と違った自分に戸惑いながら、こんなものかと生きてきた少年が、
自分のルーツを知ったとき、
初めて、自分を受け入れて、これからの生き方をしっかりとつかむ、みたいな。

何か、ふざけている様で、とても深い物語だったような気がする。

この世の「音」についても、深い考察がなされていると思うし。
物語全体に音があり、音楽が流れ、合奏する喜びに満たされている気がします。

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心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて 心にナイフをしのばせて

著者:奥野 修司
販売元:文藝春秋
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ちょうど「模倣犯」を読んだ後だったので、
事件のルポのことや、被害者の遺族のその後の人生に及ぼす影響等、
内容がかぶるものがあった。
ただ、こちらの『心にナイフをしのばせて』は、現実の事件のルポである。
1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の、その28年前にも、
15歳の少年が、同級生の首を切断して殺害したという事件があったのだそうだ。

加害者の少年については、人権保護のため、直接の取材は出来ないので、
遺族側からの取材によって得られた情報で構成されている。
そこには、本当の被害者の姿があった。
本当に守られるべきものは、加害者の人権ではなく、被害者の遺族達だと思う。

事件の全貌は分かってきたものの、「なぜ?」という事件の動機などが、やはり明確ではない。
30年余りたっても、一度の謝罪もないその精神構造はどうなっているのか。
しかも、弁護士になっているというのだから驚きだ。
少年の犯罪は、前歴となっても、前科にはならないので、
少年院を出た後、彼は新しい人生をスタートさせていたのだ。
そして、裕福な暮らしが出来るようになっているにもかかわらず、慰謝料も払おうとしない。
遺族が、謝罪を要求して、たまらず連絡をとったくだりでは、
「(お金は)少しなら貸してやるから、実印と印鑑証明を用意してくれ」
等と言い出したのだから、仰天してしまった。
どの口がそんなことを言えるのか、もう理解不能だ。寒気がした。
そんな人が、一般社会の中で普通に日常生活を送っているのだから、恐ろしい。
加害者の人生はリセットされるのに、遺族の苦しみは永遠に続くなんて、
理不尽だし、不平等すぎる。

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ひとり日和

ひとり日和 ひとり日和

著者:青山 七恵
販売元:河出書房新社
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川上弘美さんとダブってしまいました。キャラの設定でしょうか。
20歳の知寿(ちず)の会話を聞いていると、川上さんの作品に出てくるような、
飄々と人生の波に流されながら生きている人みたい。
恋人との別れとか、恋愛の始まりとか、何かの決断を自分でしないで、
人生が流れていく人。すごく自然体で、良くも悪くも、少し憧れる。

「若いわねぇ」と嬉しそうに言うお店のおばさんに、
「ええ、若いんです」と平然と答えたり、
「生きてる意味がない気がする」なんて思ったりもする。
20歳には20歳の、悩みってあったんだなぁって、
過ぎてしまえば、「若いだけで素晴らしい」なんて今の自分は思ってしまうけど。

その20歳の知寿と、71歳の吟子さんの、共同生活の四季折々。
20歳の若い女の子と、おばあさんの吟子さん、
共通点なんてないこの二人の生活と会話が、案外普通に流れていくんですね。
普通にお互いの恋愛話をしたり、慰めたり、慰められたり。
若さを感じたり、年の功を感じたり、すごく普通に。

こういう年齢の差を感じさせない話の流れも、
川上さんの「センセイの鞄」なんかを思いださせるし、
「小さいころから、わたしは手くせが悪かった。」っていう、
唐突なこんな文章も、面白いなって思った。
ちょっとひねくれた主人公とか、毒気があってピリっとした作品でした。

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コールドゲーム

コールドゲーム (新潮文庫) コールドゲーム (新潮文庫)

著者:荻原 浩
販売元:新潮社
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荻原さんの作品を読むのはこれで5作目なのですけど、
どれもハズレがありません。今回の『コールドゲーム』も「噂」の様な、
展開のオモシロさがありました。

かつての同級生のイジメの報復か?次々にクラスメートに怪事件が起こる。

ゾンビの様にしのびよる、トロ吉の影が怖かったので、恐怖小説と言っていいかもしれません。
その影におびえながらも、コールドゲームにはさせないと、
トロ吉の正体をおいつめていく展開は、どきどきでした。
最後のシーンは、常軌を逸した怖さがありました。

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ぼっけえ、きょうてえ

ぼっけえ、きょうてえ ぼっけえ、きょうてえ

著者:岩井 志麻子
販売元:角川書店
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第13回 山本周五郎賞、第6回 ホラー小説大賞受賞作品。
意外と、短編なのですね。
でも、短編なのに、怖くて、すごい。さすが受賞作品です。

表題の「ぼっけえ、きょうてえ」はもちろんのこと、
他の3つの短編も、ぞっとする怖さがありました。

すべて岡山県が舞台になっていて、土俗的要素の強いリアルな恐怖作品です。

「ぼっけえ、きょうてえ」は、すごく良かったのですけど、
最後の最後が、ちょっとやりすぎ(?)て、滑稽に思えてしまったのが、残念でした。

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押入れのちよ

押入れのちよ 押入れのちよ

著者:荻原 浩
販売元:新潮社
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本当にいろんなジャンルを書いている人だなぁ、と思います。
今度は、ホラーです。
ホラーと言っても、純然なホラー小説ではなく、
「怖いのに、切ない。笑えるけど、哀しい」という、9つの物語でした。

私の中では、怖面白いという印象ですね。
「殺意のレシピ」や「予期せぬ訪問者」なんて、もう滑稽でした。
ぞーっとするものもありましたが、ホラーが苦手な人でも読めると思います。

標題作の「押入れのちよ」なんて、かわいいって思えるくらい。
「介護の鬼」も有り得ない!って思いながら、
なかなかインパクトの強い、あったら怖い話でした。

こういう本なら、いくらでも読めそう。

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号泣する準備はできていた

号泣する準備はできていた 号泣する準備はできていた

著者:江國 香織
販売元:新潮社
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少し変わったタイトルですよね。
確かにそこにあったものを、失ってしまった女性たちが出てくる12の短編集です。
そこなわれていくことを、受け止める女性達、
だから、どこか切なかったです。
でも、甘んじて悲しみを受けいれているような、逃げないという強さも感じます。

あまり感情移入はできなかったけれど、江國さんが描く女性像は、
こういう「強さ」を持った人なのかな。

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闇の守り人

闇の守り人 闇の守り人

著者:上橋 菜穂子,二木 真希子
販売元:偕成社
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守り人シリーズ2。
まだ「神の守り人」と「精霊の守り人」しか読んだことがないけれど、
私はその中でこれが一番好き。
「精霊の守り人」読んだのに、感想書き忘れてる!(あ~もう記憶が・・・)
幼いチャグムを助ける話でしたね。
人を守ることに初めて幸せを見出したのでしたっけ。

今回は、闇の守り人。
守り人シリーズは、どこか切ないですね。ずっと心の闇が付きまとうから。
運命に翻弄される人たちを描いているからだけど。
今回の作品は、今まで読んだ中で、一番暗いイメージだけど、
バルサの養父ジグロと、バルサの魂が深くぶつかり合う、
悲しみも憎しみも愛情も・・・。
それが浄化されるとき、ふと自分も救われた気がしました。

シリーズものだけど、一作ずつ完結しているので、いつもすっきり感はあるのですが、
今回はすっきり感ぷらす、幸福というか安堵感みないなのがあって、
今回は更に良かったです。

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噂

著者:荻原 浩
販売元:新潮社
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荻原浩さんの作品で初めて読んだのが『明日の記憶』で、
若年性アルツハイマーに侵されてしまう夫婦の話だった。
その次に読んだのが『四度目の氷河期』で、全く違う作風だなと感じた。
更に今回読んだ『噂』は刑事モノというか、ミステリーなので、
本当に、いろんな顔を持つ作家さんだと思う。
それでいて、それぞれのジャンルでそれぞれによく出来てるのだから、尚すごいと思う。

今回のお話は、タイトルの「噂」からして、もっと軽いものを想像していた。
けれど、何の何の、じっくり読ませてくれる、深くて怖くて、おもしろい作品だった。

女子高生の「噂」から転じていくのだけれど、
レインマンという都市伝説という設定も面白かったし、
その仕掛けと真相も巧みだった。

犯人を探り当てていく、小暮と名島のコンビも絶妙で良かった。
警察組織や捜査のことも、結構細かくリアルに書いてあったから、
一緒に捜査している気分で、少しずつ犯人にたどりついていくドキドキを最後まで楽しめました。

登場する人物のキャラ立てがそれぞれにしっかり出来ていているのも良かったです。

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空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ 空飛ぶタイヤ

著者:池井戸 潤
販売元:実業之日本社
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初めて読む作家さんです。なかなかどうして面白かったです。
フィクションですが、妙にリアリティがあって、ついのめりこんでしまいました。

この本は、純粋な企業小説です。
ほぼ500Pにわたる大作ですが、この内容なら本当ならもっと分厚くなってもよさそうものです。

走行中のトレーラーからタイヤが外れ、飛んだタイヤは、母子を襲った。
その責任は、運送会社の整備不良とされたが、
不審を抱く運送会社社長赤松は、大手財閥系企業のホープ自動車を相手に、
真実をあからさまにしようと戦う。

小さな町の運送会社が大企業を相手に戦うことは、
無謀に等しく泥沼のように果てしないように思われたが、
大切なものを守るため、真実を明らかにするため、
その思いは、くじけなかった。
そして、その熱意と努力が少しずつ少しずつ伝わってゆく。

どんな企業にも、様々な人がおり、
目先の欲望に負けたり、組織に飲み込まれてしまう人もいる。
でも、腐った企業の中にあっても、正しい目をもった人も必ずいるもので、
その人たちがちょっとずつ重なって奇跡の糸を紡んでくれる。
だから、正しいものが証明されるのだ。

フィクションだけど、主人公と一緒になって、一消費者となって戦う気持ちになって、
熱くなってしまった。
リコール隠しが明らかになったときには、思わず涙してしまった。

また、それだけでなく、家族との関係、この問題に絡んでPTAでの問題もおこり、
そのあたりもうまく絡めてあったりして、
大切なものを守りぬく、真摯な態度が胸をあつくしました。

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神の守り人(帰還編)

神の守り人<帰還編> 神の守り人<帰還編>

著者:上橋 菜穂子
販売元:偕成社
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一見、素晴らしい王の治世によって、安泰に見えるロタ王国も、
長年にわたって少しずつ人々に不満の種が芽生えはじめており、
いまや平和の土台はひび割れ寸前の状態であった。

そんな時ロタ王国の治世をゆるがす存在、恐ろしき神タルハマヤの復活が、ささやかれる。

それを利用してロタ王国の改革を策謀する野望に溢れた才気あるシハナ。
カシャルの仲間、タルの民、幼いアスラまでも巧みに誘導し、
自分の思い通りに動かす駒として、掌握してゆく。
父親までも裏切り、冷徹なまでに計画を進めるこの女性は恐ろしかった。

南北の民、タルの民、カシャル(猟犬)たち、王弟、それぞれの思惑がからみあい、
大きな流れとなってぶつかり合う運命の時がやってきます。
「神と一つになりし者」という運命を背負わされてしまった幼いアスラが、
どうなってしまうのか、バルサはアスラを救うことができるのか?

ドキドキしながらのクライマックス。

上下二冊ありますが、危機迫る展開にどんどん引っ張られていき、一気に読めます。

そして、サユラのあわい紅の花がゆれる春の野に、アスラを抱いたバルサと兄がいる最終章の光景が、おだやかにあたたかい余韻を残してくれます。

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四度目の氷河期

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459ページ、読み応えがありました。でも、その重量感があったからこそ良かったです。

簡単に言ってしまえば、ハーフの子の苦悩(?)なんですけど、
いやいやなんの、設定とか展開がおもしろいです。
17年と11ヶ月かかって、心の穴を埋めたワタルの回顧録です。

他人と違うこと、自分が特別だと感じること、
いやみんなそれぞれが特別だということ、みんな祖先を辿れば同じということ、
みんな六十五億分の一の存在で言えば、同じということ。
・・・矛盾する思いの中、小学生の幼い心が中学、高校と進む間に成長していきます。
心の変化、体の変化、多感な頃だから変化がいっぱいです。

自分の父親は「クロマニヨン人」。(最初、ちょっと笑ってしまったけど)
そう決めてからのワタルの生き方は、自分のルーツにこだわり、父を夢想し、
孤独な戦いのようなもの。
でも、いつか前を見て、大切なことやものを知ることで、心の穴を埋めることができた。

なかなかの長大作です。
私は最後の場面の展開がこの作品にふさわしく、とても良いと思いました。

また相棒の様にずっと傍にいるサチとの関係も大変好ましいです。
読後は幸せ気分をいただけます。

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神の守り人(来訪編)

神の守り人<来訪編> 神の守り人<来訪編>

著者:上橋 菜穂子
販売元:偕成社
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「守り人シリーズ」の1冊です。
どこから読むんでも話は大抵分かるそうですが、一応、出版順に読むのがいいらしいです。
私は分からず、途中の作品から選んでしまったのですが。
『精霊の守り人』『闇の守り人』『夢の守り人』に続く作品で、
その後にも『天と地の守り人』というのがあるそうです。
守り人シリーズと同じように「旅人シリーズ」というのもあります。

『神の守り人』は来訪編、帰還編の2分冊になっています。
初めて読む守り人シリーズですが、すぐに世界に引き込まれました。
架空の世界ですが、きちんと設定付けられており、それらが壮大に広がっていています。

短槍使いのバルサ、女用心棒でとってもかっこいいです。
タンダは、バルサの幼馴染で、薬草師であり、呪術師見習い。
今回のお話は、恐ろしき神タルハマヤが、幼子アスラの体を借りて蘇るのか?
アスラとその兄チキサの運命は・・・。
アスラを狙う者カシャル達からバルサは幼き兄妹を守り通せるのか。

いろんな因縁が絡み合って、お話はおもしろく展開していきます。
ドキドキ感や、神秘感、ファンタジックな設定、そして運命のむごさ、
様々なものが相まって、とてもおもしろいです。

児童書ですが、大人も十分楽しめると思います。
これから<帰還編>を読みますが、とても楽しみです。

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えりなの青い空

えりなの青い空 えりなの青い空

著者:こみね ゆら,あさの あつこ
販売元:毎日新聞社
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小学5年生のえりなは、学校の中庭に寝転んで、
空を見上げるのが大好きなのんびりやの女の子。

少女のモデルは、あさのさんのお嬢さんでもあり、またあさのさん自身だそうです。

そういえば大人になってからは、寝転んで空を見上げて、
空の圧倒的な広さを体で感じることなんて、無いものな~。
そんな風にしたら、きっと自分の体に入っていた力もすーっと抜けていきそう。

新聞紙をしいて寝転がっていると、風がふいて耳元で新聞紙がカサコソ音をたてる。
まるで新聞紙がしゃべってるみたい。
そんな感覚がかわいくて素敵だなって思う。

えりなののんびりは、自然をいっぱい吸収しているからなんだろうな。
お母さんは「はやくしなさい」と怒るけど、
こういう資質ってこのまま伸ばしていってほしい。
人を優しく包む力もあるのだから。

でも、担任の先生のとんちんかんな発言。
大人ってきっと自分の尺度でしか見れないから、
子供のことなんて全然分かってないんだろうなって。
子供はもっと自然なのにね。

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