犬と私の10の約束

川口晴/犬と私の10の約束 川口晴/犬と私の10の約束
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泣けなかった彼女が、素直に涙を流せる様になった。
それが一番大きなポイントかもしれません。

もっと泣けるのかと思っていましたが、案外、淡々と書かれています。

もちろん、愛犬が旅立つその時は、やはり辛かったですが、
どちらかというと、一人の少女の成長の記録な様なものです。

犬には、セラピストとしての有能な働きがあるということが、
本書の中では、随所に出てきます。

とても辛いとき、そっと傍にいて、いつのまにか元気にしてくれる。
そんな風に支えてくれる存在、
いつも、変わらぬ愛情をもって見てくれる、それが犬の存在です。

犬の寿命は人間より短く、自分の人生の中のある一部分しか共有できないけれど、
その中で、示す存在意義は計り知れません。

この少女の様に、その存在に支えられ、教えられ、共に成長してきたならなお更です。

「犬は飼い主を選べないから、犬にとって、出会いはイコール運命なのです。」
というような言葉がありました。

我が家のまだ小さいわんこ達、「うちに来て良かった」って思ってくれるように、
大事にしたいと思いました。

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こころの処方箋

こころの処方箋 (新潮文庫) こころの処方箋 (新潮文庫)

著者:河合 隼雄
販売元:新潮社
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心理療法家の著者は、物の見方が、柔軟で、
全く断定したりすることがない。

心理療法家として、数多くのカウンセリングを行ってこられた経験上から出ることばの数々は、
平たく分かりやすいものでありながら、とても説得力がある。
当たり前のことを改めて、言葉にすることは案外難しいことなのに、
それを上手にやって、語りかけてくれるから、
納得して自分の中に吸収することが出来る。

何となく感覚的に感じていたり思っていたりすることを、
きちんと順序だてて教えてくれるから、「なるほど」と、
心に入ってきて、そして刻まれる。

一つ一つのお話は、短くて、だから読みやすいし、
講釈ばかりだと疲れてしまうけど、そういったうざったさは無い。

目次だけを眺めていても楽しいもので、
この中で、自分が心に残ったものは、
「人のこころなどわかるはずがない」
「ふたつよいことさてないものよ」
「一人でも二人、二人でも一人で生きるつもり」
「ものごとは努力によって解決しない」
「男女は協力し合えても理解し合うことは難しい」
等などです。
読む人によって、心に留まるものは様々だと思います。
それぞれに、好きな言葉をこの55の項目のうちに見つけられたらいいのではないかと思いました。 

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椰子・椰子

椰子・椰子 椰子・椰子

著者:山口 マオ,川上 弘美
販売元:小学館
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この本は、春夏秋冬が日記調で書き進められていきます。
お話の半分は、川上さんの夢で、
残りは、川上さんの「うそ話」だそうです。
だから、現実の世界とは若干のずれがあり、
妙な世界ですが、あまり深く考えずその世界を楽しめばいいと思います。
今回はそれにマッチした、山口マオさんの絵で、より世界が広がります。

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物語が、始まる

物語が、始まる 物語が、始まる

著者:川上 弘美
販売元:中央公論社
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1996年に出版された比較的初期の作品なんですよね。
なるほど。だからかな、比較的読みやすかったのは。

もちろん、内容は、川上さんらしいウソ話で、
独特の言い回しもあるにはあるんですけど、比較的ソフトです。
私は、読み始めたのが、最近のものからなので、
それらに比べたら、それほどキョウレツではありませんでした。

この本は短編集で、「物語が、始まる」「トカゲ」「婆」「墓を探す」 が入っています。

「物語が、始まる」は、男の雛形を拾うところから、
「トカゲ」は、幸運を招く座敷トカゲをもらうところから、
「婆」は、見知らぬ婆の家に招き入れられるところから、
「墓を探す」は、「墓を探すことにいたしました」という姉からのはがきから、
物語が始まっています。

楽な気持ちで、川上さんの幻想の世界を漂うように楽しめます。

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ニシノユキヒコの恋と冒険

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫) ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

著者:川上 弘美
販売元:新潮社
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『ひとり日和』(青山七恵著)の感想で、川上さんとダブッてしまうと、
感想を書いたけれど、
川上さんの作品を読んだら、全然違うこと分かる。やっぱりこの人はオンリーワンだ。

言葉の使い方がやっぱり独特だ。それがあちこちに、出てくる。
文章の端々に川上さん独特の言い回しが出てくるのだけれど、
多すぎて、拾い出せないのが残念。
「今にも愛してしまいそうだった」ってのも良かったな。

ニシノユキヒコの10人の女性との恋の遍歴が短編となって紡がれていくのだが、
モテるのに、いつも女性に去られてしまうニシノユキヒコという男性は、
生涯、幸せを捜し求めて放浪し続けた、寂しい男性だよなぁ。

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Presents

Presents Presents

著者:角田 光代,松尾 たいこ
販売元:双葉社
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女性が一生のうちにもらうもの、それをテーマにした12のお話。

挿絵を描かれた松尾たいこさんのあとがきを読むと、
この本が、1年をかけて、一つ一つのお話を積み上げてできたものだとわかる。
毎月、一つずつ、お話のテーマが送られてき、そのテーマをイメージして、絵を描いたそうだ。
その送られてくるテーマが、松尾さんには、プレゼントであり、
その絵を受け取る角田さんには、それがプレゼントの様だったと、お互いがおっしゃる。

そしてそうやって出来た本は、私たちにプレゼントとして、送り出されてきた。
だから、おくりもののこの本は、とてももらった人の心をあたかかくしてくれる。

読んだ後に、今までの自分の人生の中で、たくさんのものをくれた人たち、
周りにいるすべての人に、感謝したい気持ちになる。

人は、贈るより、贈られる方が常に多いんじゃないかと角田さんも言う。
毎日毎日、そうやっていろんな人に、何かをもらい、
(それは優しさだったり、ちょっとした言葉だったり、勇気だったり、元気だったり・・・)、
そうやって生きてるんだなって。

だから、自分も誰かに何かを贈りたいな、そんな風に生きて生きたいなって、思いました。

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メタボラ

メタボラ メタボラ

著者:桐野 夏生
販売元:朝日新聞社
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桐野さんの作品は、『魂萌え』に続いて、これが2冊目。
全く違う内容だけど、でも、人生に翻弄されるというか、
大きな波に、自分の意志とは関係なく、流されていく人々を描いている様な気がします。
『魂萌え』の時もそうだったけど、どのキャラクターにも、共感できないのに、
それでいて、物語がどう展開していくのかと、のめり込んで読んでしまう。
そんな面白さがあります。

この作品は、600ページ弱あって、かなり読み応えがあります。
記憶喪失から始まる人生の旅、その終着がどこへ向かうのか、
内容からいっても、映画になりそうな作品です。

この作品は沖縄が舞台なのですけど、
宮古島出身の天真爛漫な青年(昭光)のキャラが、方言とともにとてもいいです。

記憶喪失のまま暗中模索で進む前半は、少し読むのに時間がかかりましたが、
過去の人生が明らかになってくる後半からは、引き込まれて一気に読めました。
そして最後の「ズミズミ、上等」。
この昭光の言葉が作品の全てを物語っているようで、自然と笑みが浮かびました。

※結局「メタボラ」の意味は分からなかったのですが・・・
調べたら、「メタボリズム」からの造語らしくて、
「メタボリズム」っていうのは、「新陳代謝」にちなんで命名された、
1960年代に展開された建築運動のことらしいです。

古い自分を捨て、新しい自分になっていくという小説の内容から、
このタイトルになったのでしょうかね。

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ゴーストハウス

ゴーストハウス ゴーストハウス

著者:クリフ・マクニッシュ
販売元:理論社
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今年映画になった「ゴーストハウス」の原作かと思って読みましたが、
どうやら、違う様です。

でも、これはこれで面白かった。
面白かったと言ってもホラーなんですけどね。

怖いホラーというより、切ないホラーです。

天国に行けなかった魂たちの話。
子供を失った母親の魂が一番切なかったけど、
まきぞえをくって、閉じ込められている子供たちの魂もかわいそうでした。

この世で死んでから、どうやって「あっちの世界」へいくのか、
「あっちの世界」へいけなかった魂たちはどうなるのか、
死後の世界観が、想像力豊かに作られていて、引き込まれていきます。

話は面白いのだろうけど、「切なかったなー」というのが読後の感想です。

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旧怪談

旧怪談―耳袋より (幽BOOKS) 旧怪談―耳袋より (幽BOOKS)

著者:京極 夏彦
販売元:メディアファクトリー
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「ふるいかいだん」耳袋より

「耳袋」とは、江戸時代に根岸という旗本が書いた随筆集です。
これは、根岸氏が人から聞いた不思議な話や、迷信、不可解な事件の顛末などを書きとめたものです。
この本は、それを現代風に書き改めたもので、
幽霊や、魍魎、祟り、とり憑かれた者の話など、あらゆる話が出てきます。

事の事実はさておき、「あれは何だったんだろうなぁ?」という、
不思議な出来事が、ちょっとした小話風に続々と続きますので、さらさらと読めます。

怖いというより、奇妙な感じの物が多いですが、
猫関係の話は、やはりちょっと、ぞっとするものがありました。

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走れ、セナ!

走れ、セナ! 走れ、セナ!

著者:香坂 直
販売元:講談社
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香坂直さんのデビュー作。
前回読んだ『トモ、ぼくは元気です』がなかなか良かったので、
続いて読んでみました。

こちらもなかなか良かったです。
この方の作品、「いい仲間」が登場するので、ジンときます。
主人公以外の脇の人間達のキャラがいいんですよ。

今回では、おかまみたいなきんきん声を出すオカマッチのキャラが良かったなー。
頼りなくて、いっつもどきどき顔してるドキリンコ先生とか、
氷の女王のような冷たいオーラの、インチョーとか。

一人一人の個性が目立ってて、どんな子にも、絶対いいところってあるなって、
関わりあうことで発見できる。
小学校ってそういうのを見つける場所だったな。

重松清さんの『小学五年生』に続き、
偶然このお話も主人公が小学五年生でした。
この頃はいろんなことを学ぶんですね。

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トモ、ぼくは元気です

トモ、ぼくは元気です トモ、ぼくは元気です

著者:香坂 直
販売元:講談社
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小学校六年生の僕は、「家をむちゃくちゃにした」という罪で、
夏休みを祖父母の家で暮らすことになる。

そこは、浪速の商店街、関西弁がぽんぽん行きかう未知の世界。
ブレスせず一気にしゃべる、個性派ぞろいの人たちに圧倒されながらも、次第に心打ち解けていく。

浪速の商店街の人々、笑えます。
でも、面白いだけじゃない、
笑って、泣いて、怒って、・・・心に届くものたくさんありました。

兄弟(姉妹)って、否が応でも深い情でつながってるから、
傷つけることもあるけど、やっぱり大好きで、
ほかに傷つける者があったら、必死で守ろうとする。

でも、肩に力をいれて、自分だけが頑張らなくても、
人と人はつながって生きてるんだからって、
助けてくれる手が近くにたくさんあるはず。

そう思えたら、力強いし、心の緊張がとけて楽になれるよね。

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古道具 中野商店

古道具 中野商店 古道具 中野商店

著者:川上 弘美
販売元:新潮社
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短編の方が川上さんらしいのかもしれないけれど、私は長編の方が好きかもしれない。
この本の全体の感じがとても気に入った。

骨董品でも、アンティーク品でもなく、「古道具」を取り扱う中野商店を舞台に、
店主の中野さん、その姉のマサヨさん、アルバイトのわたしと、タケオ。
そして常連の人々が織り成す物語。

それはどこか懐かしく、世間とは少し離れた場所で、
皆が自分らしく幸福でいられた時間だった。

古道具 中野商店に関わる人々の、愛情や友情が微笑ましく育まれていく。
こんな時間とこんな場所とこんな人間関係って素敵だなと思った。

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神様

神様 神様

著者:川上 弘美
販売元:中央公論社
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表題の「神様」を含めた9つの短編集。この「神様」が川上さんのデビュー作。
「くまにさそわれて散歩に出る・・・」冒頭こんな風に始まる。
最近の作品から読み始めた自分には、川上さんの原点がここにあるって思える作品だった。
もともと短編の方がお好きなのかもしれない。短編のウソ話が。

川上さんの作品では、動物も人間も、人間でないものも、男も女も、年齢も分け隔てなく、
混ざり合って、曖昧だ。現実のような現実ではないような世界。
物語を読んでいる間だけ、私たちもその世界に迷い込める。

「離さない」という人魚の話や、「河童玉」という河童の話はとても魅惑的で、面白かった。

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魂萌え

魂萌え ! 魂萌え !

著者:桐野 夏生
販売元:毎日新聞社
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桐野さんの作品は、初めて読みました。
夏生という名前は男性とも女性ともとれるので、どちらだろう?と思っていたけれど、
やはり女性でした。
女性の心情ががとてもリアルに書かれていて、
すごく「分かるー!」と思う箇所が沢山あったから、
こんな風に書けるのはきっと、女性だろうなと。

このタイトルからして、もう少し軽薄(!?)なイメージを持っていたのだけれど、
もっと実生活に結びついてて、どこにでもありそうな、かなりリアルなものでした。

夫が心臓発作で急死。59歳の若さで未亡人となった敏子。
ずっと専業主婦で、夫に守られていた彼女に、突然押し寄せる世間という荒波。
夫には十年来の愛人が居たことが発覚するし、
自分の子供たちは、てんでにわがままで、遺産相続でもめるし、
長い付き合いの女友だちとでさえ、理解しあえない。
孤独に苦しむ敏子に、新しい人々との出会いが彼女を変えていく。

とても面白く読めました。
きっといつまで経っても、女性って変わらないんだろうなって思いました。
40歳になっても50歳になっても、それは自分の延長だから。
まだ自分は主人公の年代ではないので、感情移入しては読めませんでしたが、
同じ女性として、理解できる部分は多かったし、
みんなわがままで、自分のことばっかり主張して、何だか世知辛く思ったりもしましたが、
それが現実で、でもそればっかりでもなくて、
時に、人の優しさがあったり、おもいやりもあって、
助けたり助けられたりして生きているんだなって思いました。

60歳、夫が死んで、子供たちが離れて、たった一人になっても、
人生まだまだこれからって。

自分でしっかり生きていかなきゃって、何か気合が入る本でした。

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真鶴

真鶴 真鶴

著者:川上 弘美
販売元:文藝春秋
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長編作品です。真鶴(まなづる)というのは地名でした。
知らずに読み始めたので、「真鶴」というタイトルからだけでは、
内容を全く想像できませんでした。

不安定で不確定な女3人が登場する話。
母と自分と、娘。それぞれ年の違う女が3人で、暮らす空間。
思春期の不安定な娘と、旦那に失踪されて、気持ちの定まらない自分。
導かれるように真鶴へ通い、そこでついてくる女に不思議な体験をさせられる。
あの世とこの世の境なのか、漠々とした話が展開されていく。

相変わらず、川上ワールドで、不思議な語彙で語られる。
これは感覚で読むしかない。
なーんとなくで最後まで読んで、最後はいやにスッキリ終わっているので、
いろんなことにかかずらって、振り回されたけど、
ようやく、ふっきれて、形がハッキリしたのかな、って。
かたくなったり、かと思うと急にとけたり、にじんだり、
近くなったり、遠くなったり、女はいつも不安定なものらしい。

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モノレールねこ

モノレールねこ モノレールねこ

著者:加納 朋子
販売元:文藝春秋
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「家族」の絆をテーマにした、6つの物語。
今回の作品は、日常ミステリーではありませんでしたが、
ちょっとツライ部分も有りの、愛ある優しいお話でした。

標題になっている「モノレールねこ」、単行本の表紙になっていますが、
これがまたなんとも不細工でふてぶてしいところが、かわいく、いい味出しています。

お話の方は、ザリガニが主役の「バルタン最期の日」なんかも、
ザリガニ目線で、有り得ないながらに「ちょっといい話」だったし、
「ポトスの樹」のロクデナシの父親にも、最後の最後にやられちゃったーって感じで、
感動したし、それぞれバラエティーに飛んでて、おもしろかったです。

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陰日向に咲く

陰日向に咲く 陰日向に咲く

著者:劇団ひとり
販売元:幻冬舎
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いきなりホームレスに憧れる中年男性の話が始まって、面白いの書くんだなーって思っていたら、
その後もバラエティーに飛んでいて、
アイドルに陶酔しきる若者とか、借金まみれになってゆく男とか、まんまと騙される若い女の子とか、
変幻自在に一人称で語られていく。
売れない芸人の話とかは、著者が芸人だけに、つまらないさがまた面白かったりしました。

全く関係ない短編の様でありながら、少しずつどこかで、誰かがつながっていってるという、
お話の展開でした。

主人公達は、ちょっとダメなタイプで、しかも根が善人だから、
余計に悪いほうに転がっていったりして。
でも、陰日向なく咲く花のような愛すべき人ばかりでした。

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溺レる

溺レる 溺レる

著者:川上 弘美
販売元:文藝春秋
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こちらは『蛇を踏む』の様な「うそばなし」ではなく、大人の恋の話。8編。
リアルなしかも、「溺れる」ような深い情の話なのに、
川上さんが書くと一風変わったものになるのが不思議。

全然深刻にならなくて、どこか飄々としていて、まるで他人事のような主人公達。
抜き差しなら無い状況のはずなのに、呑気ささえ感じる。

でも、「愛欲でどろどろしている」という設定の話ばかり集めて、
こういう真面目に面白い風にできあがるってすごいなぁと思う。

もうお腹一杯ですってなりそうなのに、読後がさっぱりしてるのが川上さんらしい。
それに、言葉遣いとか表現が独特なのが、何とも良いです。
「うそばなし」じゃないけれど、うそのような本当の話。だからおもしろいのかも。

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蛇を踏む

蛇を踏む 蛇を踏む

著者:川上 弘美
販売元:文藝春秋
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表題作の「蛇を踏む」と「消える」、「惜夜記(あたらよき)」の3編が入っています。
あとがきに川上さんが語っておられるのですが、
川上さんは「うそばなし」がお好きなのだそうです。

川上さん曰く、『「うそ」の国は、「ほんと」の国のすぐそばにあって、ところどころには「ほんと」の国と重なっているぶぶんもあります。「うそ」の国は、入り口が狭くて、ても、奥行きはあんがい広いのです。』だそうです。

小さい頃から「うそ」の国に入り込んで遊んでいた川上さんから、
つるつると出てくる「うそばなし」たち。
それらを読んでいるその間は、川上ワールドに身をゆだねて、
私たちも一緒に遊んでみたらいいのでしょうね。

少し奇妙で、魅惑的で柔軟な世界。
獏としてて、欲望が溢れててそれが当たり前の世界。
「うそ」と「ほんと」が重なってる部分があるから、深いな。

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