戦場のニーナ

戦場のニーナ Book 戦場のニーナ

著者:なかにし 礼
販売元:講談社
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ロシアで見つかった日本人残留孤児のニーナ。

戦場でたった一人生き残り、敵国の兵士に助けられ、その後中国人として育てられる。

自分のルーツを知らず、魂を彷徨わせながら生きるニーナが、
愛を知り、自分の肉体と存在に意味を見出すが、
恋人に裏切られ、二度の命の危機に陥る。

その間もずっと、肉親以上の情をそそぎ、支え続けてくれた里親の深い愛に気づきく。

命を救われてから60年、ようやく自分のルーツを知る機会が訪れ、
魂の救済までの、長く苦しい物語です。

フィクションではあるけれど、モデルとなった人が居る様で、あとがきの参考文献からも、
かなり、リアルに作りこまれていることが分かります。

当たり前の様に、親が居て、自分がどこからきたのか分かっている状況にある自分に、
ニーナの境遇をあてはめて考えると、どんなにか孤独で不安で、
地に足のつかない思いで人生を生きただろうかと、胸が痛くなりました。

そんな中で、ニーナの保護者役として、
彼女を守り続けたムラビヨフと、ソーニャの愛には感動しました。

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エロマンガ島の三人

エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集 エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集

著者:長嶋 有
販売元:エンターブレイン
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『夕子ちゃんの近道』に続いて、ユニークなタイトルに惹かれて読んでみました。
「異色作品集」ということで、面白そうだったので。
面白かった!特に、表題の「エロマンガ島の三人」は、笑えます。

“エロマンガ島で、エロマンガを読む!”というおかしな企画で、
取材に行った編集者達の実際の話を基にした小説です。

この中に出てくる久保田という男のキャラが、傍で見ていると面白い。
一緒に居たら、暑苦しいし、イライラしそうだけど(笑)。

短編で、最後に「青色LED」というのが入っていて、
「エロマンガ島の三人」の続編的な内容になっています。

他にも奇抜な短編が入っていますが、やはり、一番インパクトに残ったのは、
「エロマンガ島の三人」でした!

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夕子ちゃんの近道

夕子ちゃんの近道 夕子ちゃんの近道

著者:長嶋 有
販売元:新潮社
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フラココ屋という、アンティーク屋さんを囲む人々の話が、短編連作の形になっています。
骨董品屋さんにかかわる人の時間の流れって、どこか世間からずれてる気がする。
だから、人生の中で少し休憩したいときや、
つらい時、一時休むことが出来る、そんな場所になってる。

川上弘美さんの『古道具 中野商店』とも、同じような雰囲気を感じました。

フラココ屋という古道具店で、ゆるく束ねられている人々が、
付かず離れずの関係の中で、それでも、それぞれが一歩ずつ踏み出していく。
そんな、出発前のひとときを描いたような作品です。
静かで淡い時間が流れています。

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ひまわりのかっちゃん

ひまわりのかっちゃん ひまわりのかっちゃん

著者:西川 つかさ
販売元:講談社
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自叙伝です。
現在は、脚本家として、また漫画や小説などをジャンルを問わず執筆されています。

小学校五年生の時に引越しをして、転校先で知り合った一人の先生によって、
人生が大きく変わっていきます。
それまでかっちゃんは、特殊学級のひまわり学級にいました。
算数や、読み書きもよく分からなかったし、運動も苦手だったからです。

でも、森田先生に出会って、ちょっとした「コツ」を教えてもらいます。
それは、人生を変えるくらいの、ちょっとした「コツ」でした。

低学年の頃のエピソードには、本人が感じていたことが、ありのまま書かれていて、
そのピュアなものの見方に、改めて新しい発見をした思いでした。

最初、母親の態度が酷いと思っていましたが、かっちゃんの卒業式の場面では、
母親の愛情の深さ、誰よりも心配し、誰よりも励まし応援していたことが分かりましたし、
それまでの様々な出来事を思い出し、胸がいっぱいになりました。

はんかくさい(「とろい」とか「のろい」の意味)と言われ続けたかっちゃんだからこそ、
生徒の指導に自信がなく模索していた頃の先生だったからこそ・・・
弱い立場にたったことのある人ほど、
誰よりも強くそして優しくもなれるのではないでしょうか。

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慟哭

慟哭 慟哭

著者:貫井 徳郎
販売元:東京創元社
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「慟哭」このタイトルに惹かれて、普段ほとんど読まない推理小説を偶然に手にとってみましたが、
これがあたり!なかなかおもしろかったです。

連続幼女誘拐事件の捜査過程と、ある男の行動とが、交互に語られる。
男は憔悴しきっており、救いを求めて、怪しい振興宗教にはまっていく。
事件の犯人が、この男であるのは早い段階で分かる。
でも、そう分かった時は、ひや~りと冷たい汗が出る感じ。
男はどんどんエスカレートしていくし、捜査は難航を極めるし、否が応でも緊張が高まる。
そして、最後の最後に「そうだったのか!」というオチが待っている。うまい。

推理だけではなく、新興宗教や、警察組織内の軋轢、家族愛など、
サブストーリーも充実していて、特に新興宗教については、かなり興味津々で読んだ。
いかにして、人が怪しい新興宗教に入り込んでゆくのか。

慟哭するほどの悲しみにあったとき人はどうなってしまうのか・・・。
これは「狂気」の物語です。

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りかさん

りかさん りかさん

著者:梨木 香歩
販売元:偕成社
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以前『からくりからくさ』を読んだけれど、この本はその主人公蓉子の少女時代のお話。
お話の中には、おばあちゃんも登場する。
蓉子が市松人形の「りかさん」とめぐり合うところから始まる。

蓉子が何故人を包み込むような優しさをもった女性になったのかが、うかがい知れます。
生来の性質というのもあるのでしょうけれど、
幼いころから、「人形たちの相手は植物の水やりに似ている」なんて思う感性があります。
人間以外のものでも、自然全てを命あるものとして自然に受け入れてしまえるんです。

蓉子が何故、染物の世界に入っていったのかも分かりますし、
後につながる伏線もここではられています。

人形たちの背負った過去を、りかさんと蓉子とおばあちゃんとで、
聞きだしそっと優しさで包み、癒しへ導いていくのですが、
それは簡単なことではなく、ひと仕事でした。

後に続くマーガレットの話や、日米親善使節の任を背負ってやってきた
「アビゲイル」の話などは、特に切なく辛かったです。

「人形の使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとんとん整理してあげることにある。」
とおばあちゃんは言う。
とは言え、人間の業の深さ、そしてそれらを吸い込んだ人形たちの長きにわたる苦しみ、
嘆きを思うと、切ないお話でした。

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