蛍川

Book 蛍川 (角川文庫)

著者:宮本 輝
販売元:角川書店
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川を舞台にした二つの作品です。

「泥の河」は幼年期の少年、「蛍川」は思春期の少年の目を通して、
突然訪れる死や、不条理な世の中、人生の哀歓を、叙情たっぷりに描いています。

全体的には、どこか切なく、くすんだ色合いなのですが、
随所に、艶やかな色使いがされているのが際立っていました。

廓舟の母親の妖艶さや、泥の河に棲むおばけ鯉、夏祭りの花火の色、
燃える蟹の炎、降るように舞う蛍の群・・・

偶然に手に取った本ですが、思わぬ拾いものをした様な気持ちになりました。
良作だと思います。

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街角小走り日記

Book 街角小走り日記 (新潮文庫)

著者:群 ようこ
販売元:新潮社
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エッセイです。見開きで1つのお話なので、気軽にちょこちょこ読んでいけます。

ただ、いかんせん、エッセイにはやはり旬というものがあるというか、
この本の発行は1991年なので、すでに17年も前。

時代を反映したエピソードも、若干、今ではピントはずれという感じで、
その時読んでいたら、楽しめたのにな~と思う。

辛口で、シュールで、ちょっと自虐的なエッセイです。

どちらがだらしないか自慢し合った話では、ベットの下に転がっていった桃の種を放っておいたら、
カビが生えたうえに、ほこりがくっついて、ソフト・ボールくらいの大きさになったので、
さすがにもう触れないんだよね。という群さんの友人にはまいった!(笑)

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クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3) クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

著者:松尾 スズキ
販売元:文藝春秋
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お話の舞台は、精神病院の閉鎖病棟で、
結構シリアスな内容なのに、
それに反して、軽いかたりで書かれています。

主人公の女性の一人称視点なんだけど、
最初、男性著者が書く女性像にちょっと違和感を感じました。わざと下品に書いているのかもしれませんが。

このお話って、著者が監督を務めて、映画化されているんだそうですけど、
テーマの割には、軽いので安っぽいものになるんじゃないか?なんて思ってしまいました。

でも、「うっかり落ちた場所が、ここだった」
みたいな感じで、精神病棟(しかも閉鎖病棟)の患者たちが、各々思ってて、
だから、誰もシリアス感がないんですよね。

精神病棟(閉鎖病棟)って、
うっかり出たり入ったりするところっていうか、
正常と異常の境ってけっこう無かったりするんじゃないかってそんな印象を受けました。

軽く書いてるのはその効果を狙っているのかもしれませんね。

ちなみに映画のキャストが、
内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶという顔ぶれで、
なかなか役柄に合って、いい感じだと思うので、
急に映画にも興味がそそられました。

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模倣犯上・下

模倣犯〈上〉 模倣犯〈上〉

著者:宮部 みゆき
販売元:小学館
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模倣犯〈下〉 模倣犯〈下〉

著者:宮部 みゆき
販売元:小学館
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大作ですね。帯カバーの案内によると、原稿用紙3551枚だそうです。
それを書いた宮部みゆきさんが、まずすごいと思いました。

連続女性殺人事件を追って、それに振り回される世間や警察や、マスコミの人々。
犯人を中心として、被害者や、その遺族達、それぞれの目線で物語は進んでいきます。

でも、やはり何よりも遺族の気持ちにスポットをあてている気がします。
物語は終盤を迎え、事件は解決しますが、
遺族の気持ちは何ら救われることはありません。
これからもずっと癒されることはない。

全巻通じて、常に冷静沈着であった遺族の立場で登場する有馬義男が、
最後の最後に見せた、「身も世もないようにむせび泣く姿」に、
本当にいたたまれなくなりました。

そして犯人も、捕まっても「一巻の終わり」風ではなく、
まだまだこれからも同じように、手を変え品を変え、
どこででも続きをやってやるといった姿勢なので、それも恐ろしくなりました。

でも、一つ救いは、有馬義男が言った言葉の様に、
「嘘は必ずばれる。本当のことは、どんなに遠くに捨てにいっても、
必ずちゃんと帰り道を見つけて帰ってくるものなんだ」ということです。

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天国の本屋

天国の本屋 (新潮文庫) 天国の本屋 (新潮文庫)

著者:松久 淳,田中 渉
販売元:新潮社
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絵本のような、メルヘンちっくで優しい本です。
著者もストーリーも全然違うけど、「いま、会いにゆきます」の雰囲気を思い出させます。
共通するのは、優しい奇跡。

本好きなら、本の中に本や本屋さんなんかが出てくるものは、
ちょっと興味を惹かれますよね。まず、タイトルで選んでしまいました。

人間の寿命は皆等しく100年と決められていて、
現世で、20歳で死んだ場合、残りの80年の天寿を「天国」でまっとうする。
そんな設定もいいですね。

天国の本屋でアルバイトをすることになったさとしが起こす、
優しい奇跡に、読後は心があったかくなります。

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名もなき毒

名もなき毒 名もなき毒

著者:宮部 みゆき
販売元:幻冬舎
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「誰か」の続編です。
人間の中の「名もなき毒」が外に向かって吐き出される時、
それは事件となって、平穏に生きる人々にふいに襲いかかる。

毒の被害に遭う人、毒に自ら蝕まれる人、どちらも不幸だけど、
孤独に耐えながら、もだえ苦しむ「毒に蝕まれる人」の方が気にかかる。
救いがなく、暗く長いトンネルが続くようなものだから。

生きていくということは、常にこのような、人間の中の「名もなき毒」にさらされているようなもの。
それから、目をそらすことも、完全に避けて通ることも出来ない。
人間が集まる社会の中に、そのあちこちに、存在しているのだから。

名のある毒より、それが一層怖いのだと、そう言ってる気がします。

昔読んだ、宮部さんの「怪~あやし~」を思い出しました。
内容は違うのだけれど、人間の中の黒い部分が、得体の知れないものとなって現われるというところに
共通点がある気がしました。

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カラフル

カラフル カラフル

著者:森 絵都
販売元:理論社
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児童書です。
「おめでとうございます!抽選にあたりました!」と天使が、
死んだはずの僕の魂に言った。
死んだ僕の魂は、大きな過ちを犯した罪な魂だそうだ。
抽選であたった魂には再挑戦のチャンスが与えられ、成功すれば輪廻のサイクルに戻れるという・・・
なかなか面白い設定でした。
そして、以前犯した罪の大きさを知るための生活が始まります。

どんな大罪なんだろう?っていうのは、最後まで秘密ですが、
確かにそれは大罪でした。このまま死んでしまうのは、やっぱり辛すぎます。
ラッキーチャンスが与えられるべくして与えられた魂だったのでは?

この世界は、いいこと以外に辛いこと悲しいこともある。
色で例えるなら、沢山のカラフルな世界。
キレイな色も汚い色もあって、それが知らない間に、人を励ましたり、傷つけたりしている。
人は人をちょっと誤解したりしながら、そういうカラフルな世界で生きている。
いろんな色があっていいんだ、それが自然なんだよって教えてくれます。

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誰か

誰か ----Somebody 誰か ----Somebody

著者:宮部 みゆき
販売元:実業之日本社
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「名もなき毒」というのが、この作品の続編だと言うことで、
(続編と言っても、単独でも問題なく読めるらしいが)読んでみた。
久々のミステリーだ。
でも、本格的なミステリーものではなくて、私の好きな日常ミステリー寄りのものだった。
何と言っても、謎をひもといていくのが、ごくごく平凡な雑誌記者だから、
その進み具合も一歩一歩地道で、いい感じに馴染みやすかった。

事件は「死亡事故」なのだが、それにまつわる謎は至って個人レベルだし、
派手な展開や、組織ぐるみの犯罪とは無縁のものだ。
だけど、これも後につながるのだろうが、
人間の中の、「毒」がテーマになっている。
人間、どんなに善良な人でも、少しはどこかに「毒」を持ってるものだと思う。

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失われた町

失われた町 失われた町

著者:三崎 亜記
販売元:集英社
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30年に一度起こる町の消滅。そこに住む人々は忽然と失われる。
大切な人を失い、残された人の思いと願いは、きっと、未来へ受け継がれていくだろう・・・。

町の消滅。おもしろい設定で、リアルな現世界であるような、微妙に違う世界設定で、
初めのうちは、「消滅」に関するいろんな事情が飲み込めず、乗り切れませんでしたが、
だんだんとその世界に入ってゆけるようになりました。

物語の世界設定もすごく面白かったですが、
語彙が豊富で、響きのきれいな言葉が沢山出てきて、
そんな表現があるのかと知るのも面白かったです。

7つのエピソードから成っていますが、そのタイトルからも窺えますが、
「澪引き(みおびき)の海」や「鈍(にび)の月映え」や「終(つい)の響い(おとない)」
「艫取り(ともどり)の呼び音」などなど。
その中でも「澪引き」のエピソードは、言葉も内容も一番印象に残っています。

物語の設定の中でも、雰囲気のある独特の世界観があり、一風変わった面白い本でした。

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あやし~怪~

あやし―怪 Book あやし―怪

著者:宮部 みゆき
販売元:角川書店
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勝手に長編だと思っていたのですが、短編集でした。
タイトル通り、「怪」しいお話が続きます。
怖いというよりも、哀しいというのが読後感です。
この世に思い残した恨みや怨念、嫉妬、後悔、穢れ、不幸が「物の怪」になって現れるのですから。
「物の怪」とは言いながら、それは元々は人間のうちにあるものが形を成したもの。
たとえそれが鬼であっても、自分の中にも鬼を見ることができます。

「安達家の鬼」というお話の一文ですが、
「人は当たり前に生きていれば、少しは人に仇をなしたり、傷つけたり、嫌な思い出をこしらえたりするものさ。だからふつうは、多少なりとも“鬼”を見たり感じたりするものなんだ。だけどおまえにはそれがない。ということは、おまえは余りにもひとりきりで閉ざされた暮らしをしてきて、まだ“人”として生きていなかったということなのだよね」これからだよ―――と、呟くようにおっしゃいました。

鬼と共に生きた義母が嫁に送った言葉が、励ますようにあたたかかく、
印象に残るお話でした。

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看護婦が見つめた人間が死ぬということ

看護婦が見つめた人間が死ぬということ 看護婦が見つめた人間が死ぬということ

著者:宮子 あずさ
販売元:海竜社
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内科病棟の看護婦さんが、今まで見送ってきた患者さんの中で、
特に印象に残ったケースについて、その経過や背景、感じたことについて書かれています。

普段「死」に近いところで働いていると、自然と「死」を意識する。
でも、それは同時に「生」を考えることでもあるといいます。

内科病棟ということで、やはり癌などによるケースが多く、それは、長く厳しいものも多い。
「ぽっくり」が誰しもの夢ではあるだろうけれど、
決して「死」は自分では選べない。そして生まれることも選べない。
人間が選べるのは、その間の人生をどう生きるかだけなのだ。

数多くの人を見送った、看護婦宮子さんの「死」に対する考えは、
「誰もが行くところへ先に行くこと」 だそうです。
だから、死が単なる無への旅立ちではなく、
愛する人たちと「いずれまた会える」と思うことで救われます。

その考え方はネガティブであり、自分の生を全うしようという気持ちにさせられます。

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